第2話「三人の出会い」


今日から新しい生活が始まる。


入学式も終わり今日から授業が始まるのだ。

 

新たな環境は面倒くさい。

 

また関わらないといけない人間が増えるだけ。


そんなことを考えながらも高校生になったばかりの隼に社会の流れに逆らう術などない。


「いってきます。」


隼はその気持ちを誤魔化すようにいつもより少し大きめの声で家を出た。


その日は中学が同じメンバーと待ち合わせて登校する約束をしていた。


中学時代特に仲良くもなかったメンバーだが一人で行くよりは心強い。


その中には祐介の姿もあった。


「おはよう。」


社交辞令という言葉を覚えたばかりの二人が交わす挨拶。


みんなが揃い、ゆっくりと自転車で高校へ向かった。


到着してすぐにそれぞれクラス毎に教室へ入った。


隼と祐介はその中で唯一同じクラスだった。


積極的ではない二人は周りの誰と会話するわけでもなく、自分の席に座っていた。


先生の挨拶、先一週間の学内日程の説明、そして自己紹介の時間が終わり、他のクラスとは時間差があったため二人だけで帰ることになった。


「なんか面倒くさいクラスやな。俺あいつらとは仲良くなれへんわ。」


自己紹介ではしゃいでいたクラスメイトを批判しながら祐介が話し出した。


「俺も無理やと思うわ。」


隼が答える。


その時一人のクラスメイトが二人に話しかけてきた。


「なあなあ自分らって田中塾じゃない?俺同じ塾に通っててんけど見たことない?」


二人とも言われたように中学の時田中塾に通っており、そのクラスメイトも見たことがあった。


「あーわかるかも。」


とっさに祐介が答えたが、塾が同じだったからといって今どうすればいいのか、高校一年生のクラスメイトがそんな答えを用意して話しかけたはずもなかった。


「これからよろしくな。」


お互い自己紹介だけを簡単に済ませ、とりあえず会話を終わらせるような言葉でその浩司という名前のクラスメイトはその場を去った。


「なんかやっぱり面倒くさいよな。」


自転車をこぎながらの帰り道、少しだけ二人の会話から社交的なものがなくなっていたような気がした。