第3話「信じきることなんてない」


来る日も来る日も二人は文句を言いながらもいつの間にか一緒に学校へ通うことが当たり前になっていた。


通い慣れ始めた学校の中でもまだ二人は他のクラスメイトとは打ち解けていなかった。

 

そんなある日。


いつものように二人だけで昼休みにお弁当を食べながら話をしているとクラスメイトの一人が声をかけてきた。


「一緒にご飯食べようや。」


中学時代同じ塾に通っていた浩司だ。


一緒に食べたいと思ったわけではなかったが断る理由もない。


「おお。いいよ食べよう。」


その日から浩司は毎日お弁当の時間になると隼と祐介のところに来るようになった。


初めはぎこちなかった会話も日が経つにつれ自然に出来るようになり、三人は常に一緒に行動するようになった。

 

「二人の会話聞いてると面白いわ。何か似てる感じでいいよな。中学からずっと仲良かったん?」


帰り道に寄ったファーストフードでハンバーガーをほおばりながら浩司が二人に話しかける。


「いや。中学の時はほとんど話したこともなくてほんま最近やで。なあ?」


隼が首を縦に振る。


「そうなんやー。それにしてはさらけ出してて信頼しあえてる感じでいいよな。」


うらやましそうな口調で浩司がつぶやいた。

 

その日みんなと別れた自転車の帰り道、隼は浩司の言葉を思い返しながら考えていた。


信頼?


これくらいの期間仲良くしていたくらいで生まれるものじゃない。


祐介とは現在仲は良いが特に信頼なんてしていない。


別に自分のことをさらけ出しているつもりもない。


信頼なんてそんなに簡単にできるもののはずがない。
今ただそばにいるのが祐介なだけ。


本当に信頼できるのは自分だけなんだから。

 

 

それでも楽しんでいないわけではなかった。


何をするわけでもなく、学校の帰りにファーストフードで話をすること。


休み時間にサッカーをすること。


カラオケに行くこと。


全てその時その時は楽しかった。


でも。


時に合わない意見、考え方、言葉の選択。


そんなものがあることは当たり前だったのに、当時の隼は自分は特別であり自分と合わないものをさげすんでいた。


だから隼は家族のこと、好きな人のこと、そんな自分の何てことないことでさえ、聞かれない限り話すことはなかった。


もちろん悩み事を相談することなんてなかった。


悩みを人に話すことは自分の弱い部分をさらけ出し、手の内を見せるようで絶対にしようとしなかった。


むしろそんな話しをする人を馬鹿にしていた。


大切なのは悩んだ時にどうやって一人で乗り越えていくかということ。


自分はそれが出来る。


だからみんなとは違うんだ。